Mbiraskiを構成する専用ブリッジ開発に関する備忘録。
最初に構想したブリッジの基本構造は単純なもので、ベースプレートとなる銅板に穴を空け、裏側から木工用のスタッド・ブロックをスクリューで固定する方式だった。

スタッドには横穴が空けられていて、そこに自転車のスポークを通す。スタッドはブレード毎に独立したブリッジとなる。スタッド上面のネジ穴から、M3ネジを使ってスポークをカシメることで、チューニングを固定する構造となっている。 この方式の利点は、、、
1)ベースプレートを使用するので、従来の楽器に比べて木材部分に不要なテンションが掛からない。よって、木材の材質や薄さの選択肢が広がる
2)チューニングの固定をM3スクリュー1本で行えるので、ギグの最中でもカリンバの転調が可能となった
3)ベースプレート(サドル・ブロック)下にピックアップを仕込めるので、音量のロスが少ない
4)ブレードの配置を二層レイヤー化することで、実装出来るブレードの数を増やせる
といったものだった。
残念ながら要求された工作精度が高すぎたために、この方式での製作は敢えなく失敗することになった。ただ、幸いにもチューニングの容易さや、サドル・ブロック製作の合理性を、この試作機で実証出来たので、その経験を生かしつつブリッジのデザインを根本的に考え直すことになった。 試作した独立タイプのブリッジからは、後にMbiraskiTrilobite等の小型モデルが派生している。
結局ははCADに頼ることになるのだが、マンパワーを圧縮するにはこの方法がベストといえる。
設計の手順は、まず試作機の実験で得られた経験値からブレードの間隔やレイヤーの深さを決定し、その数値を元にモデルを組み立てていく。
試作機では、ブレードの弾く方とは逆の「カウンター」に当たる部分から意図しない倍音が発生していた。この面白い現象も設計に採り入れることにした。

二層化された支持部はブリッッジ上部にそれぞれ固定用のM3ネジ穴を持つ。前段に設置されるブレードのため、ブリッジ後部にはブレードの直径より少し大きめの穴を開けてある。

ブリッジ本体はM3ネジ4本で楽器ボディー(単板もしくは箱)に取り付けられる。当初は横穴の径をタイトにしすぎたので、穴開けをやり直す必要があった。 チタン・スポークを使用する場合は2.1oが最適なサイズとなる。

ピックアップの実装をブリッジ直下に行えるので、振動の取りこぼしは従来のカリンバ系ピックアップより少なくなる。また、このデザインはノイズのシールドやライブで使用する場合の耐久・安定性という面で有利だ。
ブレードを実装した状態を示す。

ブレードのカウンター部分の振動から、リヴァーブのような効果が得られる。
posted by Yasuski at 10:16|
mbiraski/electricThumbPiano