2007年5月、EtherwaveThereminのチェリー材ヴァージョンをカリフォルニアの業者から購入した。

AC電源の造りや回路の精度に問題を感じつつも、まず決定したのは気に入らない筐体デザインの小変更。 角張った家具調デザインを60sの家電風にリファインする。これは、以前行った国産家具調5球中波ラジオのレストアにヒントを得たもので、

乱暴な方法ではあるがサンダーで筐体の角を落としてシェイプを変更していく。

その後、表面の塗料を剥離して再塗装を行った。塗料は5球ラジオの時と同様に
オスモカラーを使用。 残念ながら塗料の材質が原因で「外装取り付け時のオフセット発生」という問題を顕在化させてしまい、後々これに悩まされることとなった。
外装を取外して判ったのは、使われているパーツが予想以上に安っぽいこと。実際、オリジナルコンディションではチューニングがイマイチ安定しない状態だった。 原因は色々と想像できたが、まずは作りの安さが即反映されるであろうヴォリュームポットの交換を行った。

24ΦのVRポットは密閉型に。精度が要求されるチューニングノブはBeckman製の11回転VRを採用している。シャフト径がインチからミリに規格が変わるついでに、ノブをライテル製のものに交換。Beckmanの採用は正解で、調整後の周波数安定度が向上した。

次に考えたのは楽器のバッテリー駆動。電源供給及びラインアウト用としてHirose製HR-11/6pコネクターを筐体下部に増設した。

6pコネクターの接続は 1)V+ 2)GND 3)V- 4)Signal で 5&6)は予備とした。
実際に楽器を運用していくと色々とアラが見えてくるもので、最初に対処の必要を考えたのはTheremin本体ではなく、ボディーを支えるマイク・スタンド。
スタジオに普通に設置されているマイクスタンドは持ち歩くには意外と嵩張る代物で「パッケージに纏めて現場に送付」するにはちと大きすぎる。 釣竿のように尺を短く畳めるテレスコピック可能なアームはないものか?と探していたところ、格納ケース目当てで購入した米軍製地雷探知機のアームが使えそうだと判明。 重いセンサーを支える頑丈さと最短状態で40cmまで折り畳めるコンパクトなサイズが魅力だ。

以下、アームをマイクスタンドに改造する作業の過程を示す:
1)アームの先端にある地雷探知センサーを取り外し、

Thereminを取り付けるためのネジ(JIS規格)を予め切られているインチ規格の上から切リ直す。

2)KHM製の小型マイクスタンドを分解して脚の部分を分離。脚を固定する短いロッドを取り付けるためのナットを探知機アームの取っ手側に組込む。念のためナットは取り付けたアーム内部を耐衝撃タイプの瞬間接着剤で塗り固めておく。

3)探知機の電子回路を格納している小型のケースは、AC電源・バッテリー・エフェクターの格納容器として使用する。

電源は3Wayで仕組みはこんな感じ。

内蔵電源は小容量のリチウムイオン電池でインジケーターはレッド。おまけ機能として簡易型デジタルディレイを内蔵させている。また、動作の安定度を向上するために、電源ケースからアース線を引き出している。
もはやTheremin専用となった弾薬箱型アンプだが、これのバッテリー(表示グリーン)を外部電源に選択することも出来る。

購入した個体の問題点はオシレーターの周波数レンジと安定度で、特に高域が伸びずレンジが4oct以上に改善しない可変オシレーターの調整に悩まされた。
調査の結果判明した「レンジが狭まってしまう現象」の原因は、ケーストップの横板の接合を補強するために使用されている「木ねじ」の影響だった。 鉄製40ミリというサイズのコレらがアンテナ直近に刺さっている状況は俄には信じ難い設計センスだ。配置されていたネジを取り除いた結果、5octのレンジを確保する程度に状況は改善した。
依然として「カタログスペックには微妙に届かないレンジ」を改善するにはどうすれば良いのか検討を行った。 実現可能な手段はTransistorの交換、もしくはケースの完全な絶縁で、まずは難度が低い方の汎用Trの交換を行うこととなった。

改造の成果は先のトピックの通り「成功」だった。 が、オシレーターの発振周波数は依然としてケースの影響下にあり、これに関しては今後も対策を試みていくつもりだ。
Thereminの改造、特に精度の向上の意義には常に疑問が付き纏う。それは、人体の静電容量といういい加減なものさしでコントロールを行う機構に対して、精度を追い込む必要があるのかという根源的な問題だ。
自分の持論は「精度を詰められる場所は事前に詰めておく」ことで「掛け算の論理で誤差の範囲を狭められる」というもの。 「曖昧さの乗数」が少ないほど、操作の安定感が高まるはずだ。
趣味と言ったらそれまでだが、無駄な努力にならない程度に今後も改良を重ねていきたい。
posted by Yasuski at 00:25|
Theremin