最初に行っているのはキャリブレーション。ArduinoBoardはヤジロベエ式ではなく、洗濯バサミで机の縁に固定している。 電源がしっかりしているお陰で音色は安定しており、変な歪も発生していない。
ただ、Oscillatorsは安定状態とは程遠く、仮設置の華奢なアンテナでは振動の影響も無視できない。
結局、まともなアンテナを接続しなければ評価にならないので、手元にあったチタンパイプを加工することにした。
パイプの直径は6φ。 配線接続用の端子にはM2.6のハットフランジを圧入する。
パイプはリトアニアから輸入したので詳細は不明だが、チタン系合金の中では柔らか目の素材だろう。硬い6.4ALV等に比べると加工難度はマシな方といえる。
アンテナは、治具を使わずに手曲げで製作したので、形状の再現性は低い。 特に左のカーヴ状のアンテナを整形するのが難しかった。 失敗するとリカバーが大変なので、一気に曲げ過ぎないのが製作のコツだ。
アンテナが用意出来たので、次はOscillatorsを安定した状態に固定するために基板をHammondの金属ケースに内装した。 アンテナへのラインはケース裏面に実装したSMAコネクターを介して接続している。 床にアンテナを展開する言語道断のシチュエーション下での実験だったが、何とか音楽らしきものを演奏している。
実験の結果、回路全体にシールドを行うことで動作を安定方向に振る事が出来そうだが、アンテナ直近の金属ケースの影響でピッチのレンジが狭くなる可能性がある。今後のチューン次第でOscillatorのスタビリティーとのトレードオフが成り立つかが焦点となった。
上記の実験では、ThereminShield基盤それ自体もいじっていて、アンテナ端子にIPX IPEX規格のコネクターポートを取り付けている。Pigtailタイプのケーブルさえ用意できれば、他の規格の出力端子にも変更が可能だ。
端子の間隔は信号線とグランドの間が2.54mmなので、表面実装コネクターの設置にはギリギリOKだった。クリアランスを確保しないとGNDとショートしてしまうので、作業には細心の注意が必要だ。
手元にあったケーブルがSMA端子だったので偶々この仕様となったが、どちらかというとSMBの方がコンパクトで使い易いかもしれない。
線材の長さは5cmで十分。それ以上だとケース内部の引き回しに苦労する。
高周波系の部品が実装されている辺りにある基板取付け孔は、念のためテフロン・ブッシュでフローティングした。
パラメーター調整孔や、スイッチへのアクセス孔はケース裏面に集中させた。
アンテナ基台を兼ねた木材によってケースがサンドイッチされるデザインを採用している。昔のオーディオコンポの雰囲気に近い。 Moogの最近出している製品も似たような感じだろうか。
後ろ半分が半月状なのは、ギターアンプのスピーカー孔からでたジャンクを使用しているため。実は、EtherwaveProを少し意識している。
ケースはHammond製1590B。StompBoxでよく使われている素材だ。 一回り大きなサイズで組んだ方が、スペース的には余裕を持てるかもしれない。
パイロットランプには最終的に例のドールアイを改造した蓋が被さる。
撮影時は、カメラの三脚にクリップで止めている仮の状態。グラスファイバーを使った専用のポールを製作するかもしれない。
出来ればチューニング用のノブが欲しいところだが、Arduinoのスケッチには未実装。基板にランドは存在するので、そのうち採用されるものと思われる。 ただ、このコンパクトなサイズの筐体ではVRの設置場所に困りそう。
SMAのプラグが欠品だったので、テフロン線でアンテナを無理矢理繋いでいる。 このブラブラ状態故に、安定度が低くなって仕舞っているが、線の角度を変えることで、前述したチューニング・ノブ的な用法が可能なことを発見した。
何れにしてもSMAケーブルは必要なので、短いものをebayで発注しておこう。
到着から極短時間で形に出来たのはラッキーだった。 現時点でこの楽器をライヴに投入する度胸は無いが、ゆくゆくは安定度を上げてステージ上での運用に挑戦したい。
2017年1月7日 追記:
現在ボードはV3まで進化しているが、V2基板をベースにTeensy対応を行った最終形態として、米軍の通信機器"ID-292"のキャストケースに回路の実装を行っている。
なお、V3基板のTeensy対応は2017年1月の時点では未了。