2018年08月05日

Open.Theremin@オシレーターの問題を考える

検討中のアンテナのセンシングを行うベクトルの変更だが、確かに普通のテルミンと同じアンテナに手を近づけると音程が上がる方向でチューンを行うと、低域の安定度が格段に上がるようだ。

その反面、ピッチの直線性がメタメタで、Hz/V方式様の挙動を示す。 これを解決するために、アンチログ関数を掛けてみたが、処理の遅れが大きく使い物にならなかった。

解決策としてはやはり変化のカーヴを登録したWavetableを参照するのが正解と思われるが、こちらも遅れ時間を気にする必要が出てくる。

やはり正道は、まともなアナログ特性を備えたオシレーターを製作する、その一点であろう。

発振回路の方式を調査する過程でこのサイトを見つけた。

http://www.robkalmeijer.nl/.../1990/02/page32/index.html

コンパクトで素敵なシェイプの回路だが、アンテナを繋いで適度にドリフトしてくれるかどうかは判らない。 回路そのものは既にYaesu製通信機"FT101"のMODで稼働実績があるという。

ちなみに、今試験中の回路はリファレンス側とアンテナ側の発振回路の構造が若干異なるため、ドリフトの発生はある程度折り込み済ではあったが、アンテナ側のオシレーターに、運用に拠る負荷が原因と思われる周波数のドリフトが発生。 これが、温度変化の影響とは明らかに異なる挙動を示している点が大問題で、発振回路の設計を考え直さなければならない。

8月中に製作する予定の実証機のオシレーターは現行の設計で評価を行うことになるが、これはダメ出しの確認となる公算が高い。 従って、ハードウエアの製作と同時にドリフトの少なそうな発振回路の選定を行うことになるが、まずはLTSpiceを使って事前に回路の実効性と必要となる部品の定数を探ることにした。

さて、そのLTSpiceだが、いじり方を完全に忘れているのは当たり前で、数百日以上の間放ったらかしだと起動時にアプリから恨みがましく指摘された。

とりあえず回路を書き込んで行ったシミュレートの結果は「発振しない」だったが、今回は元になるモデルの作りが怪しいので、判定はペンディングとした。

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オリジナルの時定数では10MHz近辺で余裕で動いているので、やはり定数の設定がダメなのだろう。

あれこれイジった結果、7Vまで電源電圧を下げても稼動する状態に持ち込むことが出来た。

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どうも、チャージポンプ回路周りの定数がキモのようである。

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オリジナル回路の電源電圧は8Vの設定で、この状態の発振はより安定している。

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FFTの解析結果はこれで、まだまだ周波数を下げなければならない。

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Vari-Capを操作した時に発生する周波数の変動値を観測したところ、あまり芳しい結果ではなかった。

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500kHz辺りは放送との関係でマージンが取れないので、更に下の周波数を下げていく。

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部品の時定数をカットアンドトライで試しながら波形の確認を行う。

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ようやく3.3Vまで電圧を下げることが出来た。

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割とフラットに周波数が変化しているが、適当に選んだVari-Capのモデルなので結果はあくまで参考値。 
Cは47pF等、小さめの値を選んでいる。  ついでに、異なる時定数を用いて発振周波数の変動を確認する。

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高い方の周波数ではデューティーサイクルが変化するようだ、これは、出力コンデンサーのマッチングの問題と思われる。

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発振が開始される初期段階の波形。 充放電のタイミングに問題があるのか。

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これが、低い方の周波数を発進させた場合は、デューティーサイクルのバランスが理想的な状態になっていた。

次に、VariCapを0Vから3Vまで加圧した時に発生する周波数のスウィープを、異なる周波数設定下でシミュレートしてみた。

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高い周波数のほうがリニアリティーが良い感じだが、オシレーターを干渉させたゼロビート周辺で発生する可聴帯域の変化カーヴのような極々狭い領域ではまた別の挙動を示すのだろうか???

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デューティーサイクルの望ましい比率に関しては、チャージポンプ周辺及び出力バッファ前の時定数で調整する必要がある。 次に、BB914の設定をインポートしてシミュレーションを行った。

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結果はまるで違うが、よりフラットな反応が得られた。

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回路定数はこれでほぼフィックスしている。

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試しに、他の低電圧動作が保証されたVari-Capを試してみたが、これは変化幅が大きく、アンテナ接続に拠る周波数変動をカヴァーできるレンジが確認できた。

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次の試作基板では、このVar-Capを使って実験を行うことにした。
posted by Yasuski at 18:08| open.Theremin