手元にアンプが無いので音声の確認は未了だが、とりあえずMCUを実装してUIの動作を確認した。
期待していた「RGBプッシュ・スイッチ」の採用は、スイッチの極性の問題から失敗している。
当初はLEDの配色を間違えていたが、こちらはソフトウエアの変更で解決することができた。
ピッチに関しては、LCDの表示を見る限りチューニングのオフセット設定を行っていないことが原因で、不安定な状態に陥っている感がある。
LCDの接続方法は、製作時に懸念した通り「テフロン線の断線祭り」に陥った結果、リボンケーブルにリプレイスされることになった。
通電後に煙が上がることもなく安心してアンプを繋いでみたところ、音が全く出ない非常に残念な状況に陥ってしまった。 が、翌日のライヴに間に合わせるためには早急に原因を究明しなければならない。 とりあえず、データラインの波形を観測すると、MCUからの通信は健全に行われているように見える。 ただし、DACの出力端子をオシロスコープで観測しても、全てのchから音声が出力されていない。 DACチップそのものの故障(ロット単位)も考えられるので、とりあえずの対応としてチップの交換を行うことを考えた。
チップの交換を行う前に回路を精査した結果、音声が出力されない原因と考えられる「DACの負電圧発生回路に電源を引き忘れる」というポカミスが発覚した。 失敗の原因は「怪し気な回路図を参照したこと」にあったようだ。 念のため、稼働実績のある回路を参照することにしたが、どうやらチャージポンプ回路を構成する”C”の定数にも間違いがあったようだ。
なんとか DAC2 からの発音に漕ぎ着けたものの、依然としてDAC1(3/4ch)が反応しない。
また、稼働試験の過程で、目玉を発色させているPWMからオーディオラインにノイズが乗ることが判明している。 これはバラック環境では目立たなかった現象だが、頻繁に点滅する目玉の制御を、よりノイズの発生が少ないスタティック点灯方式に変更すべきだろう。
その後、不完全な仕上がりのまま、いきなり楽器として実戦投入することになったのだが、、、
VIDEO リザルトはこんな感じになった。 ローディーが居ない何時ものパターンで、サウンド・チェックのみを記録している。
LaVoixskiの新型(CortexM7ベース)はM4ベースの旧型と比較してノイズ耐性が高く、現場に於ける実用性が証明された一方、内部回路に起因する「シャックリ」の発生を抑えきることが出来なかった。
今回のライヴで判明した問題点は、、、
1)シャックリの発生は、基本的には内部構造によるものなのだが、外乱の影響をある程度受けているようにも感じた。 ちなみに、周波数カウントを16bit幅で行っている旧型機は、本来これをメインに使う予定だったにも関わらず、現場のノイズに負けていた。
2)シャックリ対策として、カウンタの値にビットシフトを行ってレンジを変更するのが有効だが、出来ればこれを現場の環境に対応して行えるような機能を追加すべきかもしれない。
3)音響システム側の入力chが限定される環境では、テルミン側のch3/4アウトを採用するのが難しいことが判った。
4)クリッピングを許容するMixOutのアドレスと、通常レベルの編集を行うアドレスのレベル差が解消されておらず、レベルシフターの有効性に課題が残った。
5)ディストーション回路は正しく動作していて、出音がソフトに歪むことを確認しているが、レベルシフターとの統合が難しい。
6)これは事後の発見だが、出力が行われないDAC1のチャージポンプ用Cの実装ミスを発見している。
シャックリ対策のその後は、、、
1)FrequencyDetect時にpitchデータを記録するバッファの更新箇所
2)帰還型フィルタ群の設定値
3)PREDIV(システムクロックの分周率)の値
4)Pitch/Volumeの復調信号をカウントした結果に対するBitShiftの設定値
以上の定数をそれぞれ変更した結果、シャックリの発生を極力抑えることに成功している。
5)DAC1に関しては、負電圧を発生させるチャージポンプ回路周りに不具合が発生していたようで、2度目のデバイス交換で回路の発振を確認したものの、相変わらず音が出ない。
6)レベルシフタの動作不良に関しては、まずD2をD38に変更した後、アッテネータの抵抗値 2.2k / 7.5k の組み合わせを、7.5kHz側を並列化することで 3.75k に変更して過大に減衰を行っていたクリッピング波形のレベルを稼いだ。 これでもまで低い感触があるので、3.3k 辺りまで下げた方が良いだろう。
7)目玉LEDをスタティック点灯方式に変更する過程で点灯のためのプログラムに不備を発見し、これを修正している。
その後、DAC1周りの回路に凡ミスを発見した結果、ようやく4ch(アウトプット端子の不備で現時点での確認は3chだが)の出力を行えるようになった。
ICを交換した後にチャージポンプ回路の電圧を測定すると、既定値の −3.2V が出力される VNEG 端子に −1.4V と異様に低い電圧が観測された。 この端子に接続されている部品はコンデンサ2個で、ここに何らかの問題が潜んでいる可能性が示唆される。
そこで発覚したのは「負電源端子 VNEG に接続した平滑コンデンサの極性を間違える」という、これまた程度の低いミスだった。 コンデンサの交換後にようやく DAC1 からの出力を確認することが出来た。
VIDEO ドロケーの録音は音質が悪いのだが、映像ではモノラル・アウトと Mixed の Rch をパワード・スピーカー(単体)の入力でミックスした音声をモニターしている。 音声出力の端末は 3ch out が仕様なので、Mixed 2ch に加えて Op3+OSC3 の音声を抵抗を使って1chにミックスしなければならない。。
その他の変更点として、DIstortion回路=オペアンプのバイアス電圧をグランドに落す機構のスイッチ経由でグランドと接続している100kの抵抗値を47kに下げる調整を行っているが、これでもまだ歪み度が足りない感触があるので、抵抗値を20k程度まで落とすことを考えている。
追記:
周波数カウンタのリザルトに対して行う bitShift の設定は「シャックリ現象」との兼ね合いで、使用感を確かめながら最適値を擦り合わせていくことになる。
追記2:
Distortion回路=BIAS電圧の切替によって、出力にポップノイズが出てしまうのは回路の「仕様」だが、やはりこれが気になってしまうのが人情で、動作速度が速過ぎてノイズが発生するMAXIMのアナログスイッチICを、スイッチングスピードに時定数の設定でが可能な P−Channel FET を使ったディスクリート回路に換装することにした。
アナログスイッチICはレベルシフタを兼ねていたため、新たにレベル変換用のゲートICを追加する必要があるが、74/1Gシリーズのフットプリントは意外と嵩張って仕舞う。 実装にはそこそこ苦労しそうだと思っていたのだが、端子の配列が素直なためか想像していた程の手間は掛からなかった。
追記3:
試行錯誤が続いているが、FVCのリザルトに掛けるウエイトは暫定でこんな感じになった。
一方、アナログオシレータが安定して動作する領域を精査したところ、その閾値はデータ読みで200カウント辺りに存在することが判っている。