負荷を外すと波形の表示が綺麗になるので、DAC(故障気味)からなんらかのフィードバックが発生しているものと思われるのだが、、、。 ちなみに、ロジック・アナライザ側では何故かこの問題が観測されない。

データの出力をPCM5102Aのデータフォーマットのタイミングと比較した場合、

意図的に作ってあるLRCKとBCKのズレが少々気になるが、

これは、BCKの位相をLRCKのエッジから128fs分だけ遅らせて、データが確定するタイミングに安全マージンを持たせる意図がある。
このタイミングが許容範囲に収まるかどうかは、「食い合わせの問題」になってくる。
遅延時間のセッティングは、D-FFによって行われる同期パルスの解像度に依存している。 意図的に遅延を設定してマージンを持たせることは、DAC(受け側)に於けるBCKの扱いがデータの確定を優先した非同期方式の場合に効果がある。
逆にBCKとLRCKがガチガチに同期されている場合にはタイミングの判定がクリティカルになってくるのだが、AlesisのDACの場合はLRCKから内装されたオシレータによってBCKを生成している手前、

外に出てこないBCKの位相差が判らないために、タイミングの辻褄合わせは実測値で行うしか手段が無い。
AL1201は、BCKのダウンエッジで読み込みデータが確定するのだが、送出側の遅延時間を128fsとすると、このタイミングではアウトとなる。

FPGA側の端子が余っているので、BCKと同期させた別出力の端子を生成して、これを充てるのが正解だろう。
何れにしてもDAC側が正常に動作しているのであれば、LRCKとBCKの位相差に問題が生じない極大値・極小値の入力時に反応がある筈で、それが無いということがDACの動作不良を証明している。
その後、VHDLにLRCKの出力端子を追加しているが、

何故かWCKの逆相になっている。(ミスを修正した筈だったのに) とはいえ、BCKと信号のエッジが一致すれば、左右のCHが逆転するだけなので、実験を行う上で支障はない。
BCKのダウンエッジと同期をとった場合、

PCM5102Aはこのタイミング。
BCKのアップエッジで同期を取った場合、

AL1201はこのタイミングだが、BCKがチップ内で生成されるので、比較を行う意味はない。
逆相出力の原因は、失敗に気付いて再インプリメンテーションまでは行ったものの、
書き込み作業そのものを忘れていたことにあった。 この件で実害は殆ど発生しないが、(L/Rなどという仕切りは観念的なものなので)朝方の寝惚ける時間帯にまたもや間抜けをやってしまった。
PCM5102Aの試験はこの体制で行うことになるが、

取り込んだデータがLRCKの半波長後のタイミングで出力されていることが判る。
追記:
CKWを14番pinに配置したところ、MSBの取り零しが乱発した。 pin配置を21番に戻して、取り零しは皆無となった。
CKWは送出側でデータのステイタスが確定した状況で”H"が出力されるのだが、FPGAの内部配線によってLATCH信号との相対的な遅延時間が「改善」された結果、先頭のデータが取り零されてしまう。 やはりFPGAのpin配置はタイミングに対してクリティカルに作用するようだ。

よく考えると、これはLATCH信号の立ち上がりとCKWとの相対的なタイミングの問題で、14番pinに信号を配置することで内部配線の遅延時間が変化して、MSBの立ち上がりにLATCHの立ち上がりが間に合わなくなり、その結果、データが取り零されるものと推測している。
改善の方法は、IDEから指摘されるようにLATCH信号ラインの遅延を解消することが本道ではあるが、どうも物理的にそれは無理っぽく、結果的に仕方なく遅延時間を織り込んだ信号のマネージメントを行うことになっている。

回路自体は至極単純な構造の反復なので、

コンパイラが適当な判断をしてくれれば良いと思うのだがそれは叶わず、試しに構成素子の規模が4倍のデバイスを対象にインプリメンテーションを行っても結果は変わらない。
使用する素子には外部端子が32pinという物理的な制限が認められるが「構成回路の規模により発生した制限」とも違うようで、これはデバイスと回路の相性の問題なのかもしれない。